試薬エチレン(H₂C=CH₂)AlCl₃(塩化アルミニウム) (ルイス酸触媒)
溶媒・条件CH₂Cl₂(ジクロロメタン) (不活性溶媒)-78°C → 室温(rt) (低温で制御開始、徐々に昇温)
後処理水による加水分解 (AlCl₃ 錯体の分解)
この反応の出発物質であるp-メトキシフェニルアセチルクロリドには、酸クロリドという官能基が含まれています。具体的には、カルボニル炭素(C=Oの炭素)とそれに結合した塩素原子(Cl)に注目します。また、試薬として強力なルイス酸である塩化アルミニウム(AlCl₃)が用いられています。
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塩化アルミニウム(AlCl₃)は、電子対を受け入れる性質を持つルイス酸です。酸クロリドの塩素原子(Cl)は、複数の孤立電子対を持っており、その孤立電子対がルイス酸のアルミニウム原子が持つ空軌道へ配位します。この配位により、C-Cl結合が弱まり、最終的に塩素が塩化物イオン(Cl⁻)として引き抜かれ、炭素上に正電荷を持ったアシリウムイオンが生成します。このアシリウムイオンは、酸素の孤立電子対が炭素に電子を供与する共鳴構造により安定化されています。
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生成したアシリウムイオンの正電荷を帯びた炭素は強力な求電子剤として振る舞います。この求電子剤が、試薬のエチレンが持つ電子密度の高いπ電子を攻撃し、新たな炭素-炭素結合を形成します。これにより、炭素鎖が伸長し、分子内に第一級カルボカチオン中間体が生じます。次に、このカルボカチオン(求電子剤)と、分子内にある電子豊富な芳香環(求核剤)の間で反応が起こり、新たな炭素-炭素結合が形成されて六員環が閉じることで、テトラロン骨格が完成します。
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まず、酸クロリドの塩素原子の孤立電子対がAlCl₃のアルミニウム原子の空軌道へ配位します。次に、この配位によってC-Cl結合が切断され、同時にカルボニル酸素の孤立電子対が正電荷を持つカルボニル炭素へ電子を供与し、炭素-酸素三重結合を持つアシリウムイオンが生成します。このアシリウムイオンの正電荷を帯びた炭素がエチレンのπ電子を攻撃し、エチレンのπ結合が開裂して新しい炭素-炭素結合が形成され、もう一方のエチレンの炭素に第一級カルボカチオンが生じます。最後に、このカルボカチオンが同じ分子内の、メトキシ基によって電子密度が高められた芳香環のπ電子から攻撃を受け、新たな炭素-炭素結合が形成されて六員環が閉じます。その後、プロトンが脱離して芳香族性が回復します。
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上記の段階を経て、最終的に6-メトキシ-2-テトラロンと呼ばれる六員環のケトンを含む二環式化合物が生成します。これは分子内Friedel-Craftsアシル化によりテトラロン骨格が構築された結果です。
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📚 参考文献
[2] Clayden, J.; Greeves, N.; Warren, S. Organic Chemistry, 2nd ed.; Oxford University Press: Oxford, 2012. (Chapter 22: Electrophilic aromatic substitution — Friedel-Crafts acylation の解説)
🔗 doi.org/10.1093/hesc/9780199270293.001.0001